6日目:リードギターとサイドギター
この前に参加させていただいたセッションで以下のようなお褒めの言葉をいただきました。
「ギタリストには、SUGIZOタイプとINORANタイプがいるけど、ハルさんって両方持っていますよね」
そこで今回はリードギターとサイドギターについて触れていきたいと思います。
リードギタータイプとサイドギタータイプ
バンド内に2名以上ギターがいるバンドでよく使われる言葉が「リードギター」と「サイドギター」、いわゆる上手(かみて)・下手(しもて)ですね。
(バッキングを弾くことの多いギターボーカルはサイドギターに含みます)
ギターソロやリフに命を懸けるリードギタータイプと、バッキングやリズムキープを軸とするサイドギタータイプに分かれて役割を明確化することでバンドとしてのまとまりを高めていく狙いがあると思います。
これはプレイスタイルにもそのまま当てはまる
実はこれって、バンド内の役割としてだけではなく、そのギタリストの本質・プレイスタイルにもそのまま当てはまります。 速弾きやフレーズを弾くのが好きなギタリスト、ストロークや刻みを弾くのが好きなギタリストと、多くのギタリストの方は、どちらかにハッキリと偏っているようです。
個人的な経験によれば、リードギタータイプのギタリストは大掛かりなエフェクターボードで音作りをしたり、アンプのSEND/RETURNを使いこなしたりと、音作りが環境づくりにこだわりが深い傾向にあると思います。
サイドギターが簡単というのは大間違い
サイドギターはコードを弾いたり、カッティングを入れたりはするものの、素早いフレーズを弾くことは少なく、更に下手ギターという名称もあり、簡単だとか、リードギターの方がすごいという風潮があります。 しかし、これは大きな間違いであると私は思います。
サイドギターのポイントはバッキングやアルペジオを主体にバンドサウンドを組み立てることにあります。 コードやカッティングの正確な刻みや、アルペジオの鳴らし方や、曲を通してのニュアンスの変化など、繊細で確かな右手の動きが求められます。 そして、ハードロックやメタルならともかく、ポップスやジャズなどしっとりした楽曲を演奏する上では本当に重要なスキルであり、このスキルが高い人というのはアマチュアでは非常に少ないのが実情です。
そのため、普段リードギターをやっている方と、サイドギター専門の方とでは差は歴然です。 一見やっていることは地味かもしれませんが、縁の下の力持ちとして、リードギターとは違った視点で、バンドの色を深めていくのです。 まさしく、リードギターが「左手」のスペシャリストならば、サイドギターは「右手」のスペシャリストなのです。
とはいうものの、左手の素早い動きを要求されることが少ないため、表面的にはとっつきやすいイメージがあり、初心者の方には入口として丁度良いのもまた事実ですね。
苦手分野にも練習時間をしっかりと割こう!
リードギタータイプとなるのか、サイドギタータイプとなるのか。 これは利き腕が自然と決まるのと似たように、ギターを始めた際の好きな音楽やアーティスト、友達との関係といった様々な要素で決まってきますが、一度定着すると、それを変えていくのは難しいと思います。
しかし、逆の分野においても、しっかりと練習を積み重ねていけばリフも出来るし、コードにもこだわるバランスのよいギタリストになることができます。 そのため、速弾きが多いなと感じた方は、バッキングやアルペジオを、そしてバッキングが多いなと感じている方はフレーズの練習にもしっかりと時間を割きましょう。
両者には独自の領域がある
とはいえ、それぞれのタイプには哲学やポリシー、流儀というような独自の領域があります。それを知り、考え、理解をしなければ、ただの作業練習になってしまうかもしれません。 お互いを理解することで、効率的な練習になるし、それによってギターを弾くことがもっと好きになり、モチベーションとギタリストの質が大きく向上するものです。
ちなみに冒頭で触れた「自分はリードギターとサイドギターの両方を持っている」とお褒めの言葉をいただいた件ですが、自分はサイドギターに軸がある・・・はずです。
この講座のポイントはココ!
バンド内に2名以上ギターがいるバンドでは、ギターソロやフレーズがメインのリードギター(上手)と、バッキングがメインのサイドギター(下手)と役割を分けることが多い。
ギタリストとしての本質やプレイスタイルも、リードギタータイプとサイドギタータイプに分けられ、多くのギタリストはどちらかにハッキリと偏っている。
サイドギターは決して簡単ではない。コードや刻みの正確なリズムキープや、強弱やストロークのニュアンスなど、一見地味ながら繊細さと精密さが要求されるやりがいのあるポジションだ。 一見、地味かもしれないけど、リードギターとは違った視点からバンドの色を深めているんだ。
リードギタータイプの方はコードやアルペジオ、ピッキングニュアンスの練習を、サイドギターの方はギターソロやフレーズの練習を欠かさずにするようにしよう。 だけど、それぞれには独自の領域があるので、それが何なのかを理解してから取り組むようにしたい。