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73日目:バンドのテーマ・コンセプトを決めよう
「個性的なバンド」という評価を受けるバンドは「魅力的なバンド」ということにもなると前回は紹介した。 とはいえ、個性的なバンドや魅力のあるバンドの多くには、ある共通点があるんだ。
バンドのテーマ・コンセプトを決めよう
世の中には星の数ほどのバンドがある。 そんなライバル達がひしめく中で、個性的なバンドに仕立てるためには、バンドのカラーやテーマ、コンセプトを決めることが必要不可欠だ。
テーマですか。 たとえば、「ポップスバンド」「ヘビメタバンド」とかですか?
そうじゃないけど、そう。 バンドをやる上で、自分たちのテーマやカラー、コンセプトを決めておくことで、自分たちの進むべき道が見つけやすくなるよ。 自分たちのバンドの「芯」の部分は何なのか。 それは、バンド活動を始める前や、バンド活動に行き詰った時にしっかりと考えてみて欲しい。
ポイントは「リスナーにどうなってほしいのか?」
テーマやコンセプトを決める上で、まず考えるべきはリスナー。 バンド活動というのは、自己満足の世界でありながらも、他者に音楽を提供するエンターテイメントでもある。 そこで考えるべきは、リスナーつまりはファンやお客さんにどうなってほしいのかということ。
どうなって・・・。 というのはモッシュしたり、ヘドバンしたり、座りながらゆったり聴いていたり・・・とかいうことですか?
人は音楽を聴いて、ライブを見て、さまざまなものを発散しているけど、その対象は様々だ。 楽しい気分になりたかったり、感動したかったり、切ない音楽でしんみりしたかったりとね。 一緒にバカ騒ぎしたいなんていうのも、リスナーの楽しみのひとつだ。
リスナーに感じてほしい感情は?
言うなれば、自分のバンドの音楽を体感してもらって、リスナーをどの感情にしたいのか。 「わいわい騒いで元気になってほしい」「凝った世界観に浸ってワクワクしてほしい」「ひたすら笑い転げてほしい」「派手さはないけど、シンプルな音楽で心を癒してほしい」とかね。
なるほどー。 それがバンドで定まっていると、楽曲作りやアレンジ、ライブのMCやステージング、衣装なども決めやすくなりますね。
そう。 バンドがする一つ一つの選択に意味を持たせやすくなる。 そして、そのバンド活動のすべてに統一感が出る。 お客さんってそういう空気のような、雰囲気のようなものを案外、見逃さないものだ。
テーマ・コンセプトは必ずしも斬新でなくてもよい
それにしても、バンドのテーマ・コンセプトを決めるって言っても、誰も見たこともない聞いたこともない斬新な世界観を考えるのは大変ですね。
個性的で斬新な世界観を考えてバンドのテーマにするのはとても面白いね。 だけど、必ずしも斬新なものにしなくてはならないということはないよ。 バンドのテーマやコンセプトは一度決めたら、それに沿ってバンド活動をしていくことになる。 だから、自分たちが突き詰められる、やり切れるものにすることも大切だよ。
でも、それだとありきたりで平凡なバンドになってしまいませんか?
バンドが繰り出す音楽というものは、バンドが表現する世界観の他に、メンバーの呼吸や素材から作りだされる。 だから「テーマ」×「バンドメンバー」というものがバンドのアイデンティティになる。 いくら斬新なテーマでも、自分たちには合わない、熱中しきれないテーマを選ぶと、中途半端になってしまい、結局没個性となってしまうことだってある。
なるほど。 「自分たちらしさ」と絡めて、バンドの個性というものを考えていく必要があるわけですね。
ジャンルとか編成での個性は後付の個性
さっき、理結ちゃんがバンドのテーマとかを尋ねられた時に「ポップスバンド」「ヘビメタバンド」とか言ったけど、そのようにジャンルやパートの構成を個性とするのももちろん間違いじゃない。 ただし、それはバンドが表現したい「感情」を決めた後の後付だったり、形式的・表面的な個性なんだ。
それも悪くはないけど、それは時として自分たちの可能性や幅を狭めてしまう個性であったりもする。 やっぱり音楽を聴く人っていうのは、バンドのジャンルじゃなくて、そのバンドの世界観を好きになるものだと思う。 だから、まずは音楽の根っこの部分である「感情」という芯を決める必要があるんだ。
バンドの代名詞を持てたら最高
個性的で人気のあるバンド・アーティストは、バンドの代名詞を持っていることが多い。 たとえば、「恋愛の歌」といえばaiko、「天才」といえばBUMP OF CHICKENの藤原さん、「震えるくらい病むほどの愛」といえば西野カナといったようにね。
「○○バンドといえば△△」という風に思ってもらえば、そのバンドの個性がリスナー側にしっかり伝わっているということですもんね!
そうだね。 バンドに代名詞がつくためには、バンドのテーマ・コンセプトを決めて、それに沿って活動し続ける必要がある。 その積み重ねがバンドの世界観に一体感や統一感をもたらして、バンドの個性や空気感がリスナーに伝わりやすくなるものなんだ。
◆まとめ
今回の講座『バンドのテーマ・コンセプトを決めよう』
- 星の数ほどのバンドがひしめく中で、個性的なバンドに仕立てるためには、バンドのカラーやテーマ、コンセプト・・・つまりはバンドの「芯」を決めることが必要不可欠。
- 自分たちの音楽を体感してもらって、リスナーがどのような感情にしたいのかが、バンドのテーマ決めでの大きなポイントになる。
- バンドのテーマ・コンセプトは、バンド活動の柱になる。だから自分たちが熱中しきれない、やりきれないものにすると、中途半端になる。だから必ずしも斬新なテーマにすればよいとは限らない。
- 人気のあるバンドには、「○○バンドといえば△△」というような代名詞があることが多い。自分たちのバンドにも代名詞がもらえるように、芯をぶらさずに活動していこう。